CPP試験勉強(2025/05/21):調達組織

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企業組織における調達の位置づけと組織形態の考え方

ラインとスタッフの概念

企業組織は、大きく「ライン」と「スタッフ」に分けて考えられます。

  • ライン部門:業務の遂行に直接関わり、「プロフィット(利益)」に対する責任を負います。例:製造部門、営業部門
  • スタッフ部門:ラインの業務を支援し、専門性を基盤にしたサポートを提供します。例:経理部門、人事部門、法務部門

※調達部門は企業によって、ラインに属する場合とスタッフに属する場合があります。


プロフィットセンターとコストセンター

企業の部門は、以下の2種類に分類されます。

  • プロフィットセンター:利益(プロフィット)に責任を持つ部門
  • コストセンター:コストのみを管理する部門

調達部門は、一般的に「コストセンター」として位置づけられます。


企業全体の組織形態

企業の組織形態には以下のような種類があります。

  • 職能別組織:営業、製造、人事、経理、調達など、機能ごとに編成
  • 事業部別組織:製品別、顧客別、地域別などに分けた利益責任を持つ事業単位
  • マトリックス組織:職能別組織と事業部別組織の統合。二重報告体制をとる
  • 臨時編成組織・委員会:特定の課題に対して横断的に編成される
  • カンパニー制組織:より独立性の高い事業部制の発展形
  • 社内ベンチャー:リスクの高い新規事業を特別に扱う組織

調達部門の役割と組織的な位置づけ

調達品を扱う部門

調達対象は、以下のように多岐にわたります。

  • 製品の材料・部品(直接材)
  • 設備、消耗品、サービス(間接材)

※すべての調達品を調達部門が担当しているとは限らず、他部門が扱っているケースもあります。どの部門が何を担当しているかを把握することが重要です。

欧米企業を中心に、キャッシュのアウトフローすべてを調達部門がカバーする体制が広がりつつあります。


調達組織の3つのタイプ

  1. 事業横断組織型
     全社横断のスタッフ部門として、複数事業体を横断して調達サービスを提供
  2. 事業ライン組織型
     事業部や工場など、個別のライン組織の一部門として調達を担当
  3. 事業横断・ライン混合型
     例:グローバル調達やIT調達は横断組織、それ以外は各事業ラインが担当

企業の業種や内部体制に応じて、柔軟に最適な体制をとることが求められます。


調達部門のビジネスプロセス上の役割

調達部門の役割を明確にする際の重要ポイント:

  • 「サプライヤー決定権」と「調達価格決定権」は、調達部門に属させるべき
  • 内部統制の観点から、不適切な処理を防止するため、複数組織による役割分担が重要

ライン機能の具体的分担事例

調達業務におけるライン機能の分担例は以下のとおりです。

  • 購買(カタログ購入) と 製造委託
  • 試作段階専門 と 量産段階専門
  • 直接材調達 と 間接材調達
  • 国内サプライヤー担当 と 海外サプライヤー担当

各企業の状況に応じて、柔軟に分担することが重要です。


集中化と分散化の検討課題

調達業務において、「集中化」と「分散化」は重要な設計テーマです。

集中化の方向性:

  • 同一品目のとりまとめ
  • 類似品のとりまとめ
  • サプライヤーの集約
  • 専門スキルの活用(例:輸入品調達)
  • 設計段階での標準化と集約

強み弱み
集中ボリュームの活用きめ細かい対応がしにくい
スピードが鈍い
分散きめ細かい対応
速いスピード
ボリュームがいかせない

国際調達事務所(IPO:International Purchasing Office)

IPOは調達部門が中心となって運営する海外拠点の調達組織です。

IPOの主なミッション

  • 現地調達品のトータルコスト最適化
  • サプライヤーとの良好な関係構築
  • サプライヤーや市場に関する情報提供

IPOの課題

  • 設置・運用コストの回収
  • 費用対効果の十分な検討が必要

まとめ

調達部門は企業組織の中で重要な役割を果たし、ライン・スタッフ、業務分担、集中化・分散化といった観点から組織設計を行う必要があります。自社の業態や事業特性に応じて、最適な調達体制を構築することが競争力強化に直結します。

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